燃えて消すのが俺の流儀だ
プロメアという作品をご存知だろうか。
TRIGGERによって作成されたオリジナルアニメ映画である。
初公開の日時は2019年5月15日であるからして6周年の日付は過ぎている訳だが、私が初めてプロメアを見た日付は2019年5月26日であり、初見の衝撃が忘れられずふらふらと映画館に足を運び2度目の鑑賞に浸った日付は同年5月31日である。なので、私の中でのプロメア記念日はこの辺(大雑把)というわけだ。よって6年前を懐かしみ、具体的に何をしていたかをちょっと思い出しながら書きたいと思う。全体的にオタク個人の感想です。記憶違い等あればご容赦ください。
お上品顔股下5km大開脚ドカ座り頭領
出会いとしてはありきたり、映画館の広告ポスターであった。えっTRIGGERの新作?グレンラガンもキルラキルも好きだったなあ、いいじゃん今度友達と遊びに行く時誘って見てみよう。そんな程度だった。これがこの後6年こじらせる出会いになるとは思いもしなかった。
まあ初見の詳細な感想は省こう。端的に言うと脳みそを焼かれ、付き添ってくれた友達に介護されながら飲み屋でへたり込み「私は今……何を見せられた……???」とハイボールを流し込んで正気を保とうとしていたことだけは覚えている。ずっと脳内で宇宙猫が踊り狂っていた。きっとこの時期猫ミームが流行っていたら頭を抱える猫がのたうち回っていただろう。
当時はシフト制で、日曜と平日のどこかが休みだったのだが、その週の私の仕事の惨憺たる有様と言ったらなかったと思う。次の休みが金曜日であることに怒り狂っていた。なんで倍率の低い月火辺りで休みを取って置かなかったんだ。もう記憶が遠い。あのシーンで何を言っていたかどう動いていたか後ろに何が描写してあったか息遣いはどうだったか全部この目に焼き付けたい。日中は狂い帰宅すればTwitterの感想タグに縋り付く日々だった。
待ちに待った金曜日、映画館で2度目ましての鑑賞に至る。当時同じ映画を2度も見に行くなんてことをしたことがなかった。しかし、当時の私は1度きりの鑑賞ではもはや耐えられなかったのである。Twitterの諸兄が語る「円盤は出るのか」「売り上げ次第ではないか」という恐ろしい想定もそれに拍車をかけた。これ以降、私は同じ映画を3回見るくらいは当たり前では?という悪癖に目覚め家人に怪訝な顔をされることになる。後述するがお前との初デートもプロメアだったんだから許せ。
フォーサイト財団に就職させて欲しい
3度目ましてをして以降は怒涛の勢いだった。遊ぶ約束をしていた友人から体調不良になったとキャンセルされればその足で映画館に行く。ちょっと遠出して現地解散すれば現地の映画館に足を運ぶ。理解のあるオタクに頼み込んで予定を映画にしてもらう。6度目くらいで応援上映(プロメアでは応炎と表記する)があると聞きバスを乗り継いで遠方の映画館へ言ってみた。始まったばかりすぎてそもそも私含め3人くらいしか客がおらず、どこで何をどのように応援していいのかも分からなかったため声を出すのは憚られたが、思う存分サイリウムをぶん回すことが出来た。
川崎にあるチネチッタという映画館がめちゃくちゃプロメアを推してくれていたので、それも見に行った。滅殺開墾ハードコア応炎上映炎の七日間である。音響にも画面の色合いにも力を入れまくったと言うだけあって、重低音が響く場面で肺の底が震えた。なお海老名のイオンシネマも力を入れてくれており、この時期神奈川まで行きまくっていた。
この辺りでプロメア同好の士と交流を図るようになる。なんせ大声で「ここすき!」と叫べば「わかる!」と返ってくる状況である。こだまでしょうか、いいえオタクです。掛け声のテンプレと大喜利が始まり、サイリウム芸が洗練され、参戦用にTシャツを自作したと知らせたら現地でフォロワーから肩を叩かれ飲みに行く、持ち込んだ自作グッズを褒め、さらに褒められ相互フォローになる、応援上映で叫び散らかすため喉を大事にとのど飴入名刺を交換する、皆「画面が色鮮やかに見える」とまことしやかに囁かれたブルーベリーのサプリを直前に服用して精一杯画面を凝視していた。最後のサプリに至ってはそんな即効性があるかと言いたくもなる。プラセボあるいはドーパミンかなんかのせいだったのではなかろうか。まあなんせそれくらい必死だったと思って欲しい。当時一番謎だったのはとあるシーンにて、「ここどこ?」という声に「たまアリ!」だの「ドーム!」だの叫ぶ中「光子力研究所!」と叫び返して「わかる!」と斜め後ろから返事があったことだった。上映後握手した。
4DXは殴られるシーンがいちばん楽しかった
16度目あたりで、主題歌がカラオケに収録された。なんせSuper〇lyである。ぜひ歌いましょうとはしゃいでいたらあれよあれよという間にオフ会への参戦が決まっていた。でかいパーティルームにオタクが集まりイメソンを歌い主題歌でサイリウムを振り散々に喋り散らかした。オタクのイメソンデッキはイメソン交流会で手札を増やしていくのである。
さらにこの時期夏である。夏といえばコミケ。赤ブーのオンリーはさらなり。公式の非公式本や落書き本がどしゃめしゃの騒ぎになることは今に始まったことでは無いが、当時の混乱もなかなかだった。なんせ夏コミの申し込み時期には存在していない作品である。ジャンルとしての登録が間に合わなかったのだ。さまざまなジャンルのサークルが「新刊はプロメアです」の告知を出し、島中に行列が作られる。オタクは東から西へと天地鳴動の大騒ぎを起こし、セメタリーは文字通りオタクの墓場となった。混乱はしていたがオタクの意思は同じ方向を向いており、「(目当てのサークルに近づいて)ここ最後尾ですか!?」と聞けば「あっちです!」と列の一同が同じ方向を示した。教えてもらった道を進みながら自分も道を聞かれ、「あっちらしいです!一緒に行きましょう!」と誘えば話が弾んだ。転売を許すなと声をかけ回り、後日の通販に血の涙を流しながら望みを掛けた。
ジャンルとしての登録が間に合った赤ブーのオンリーイベントについても似たことが言える。当時仲良くなったフォロワーの売り子兼買い子として参加させていただいていたが、会場面積の半分がプロメア関連。開幕と同時に会場BGMが主題歌に切り替わった。ブチアゲである。こちらもオタクは一致団結しており、「(CP名)の島どっちですか!?」と叫べばあちらだと示しつつ、「今なら列渡れる!(人をかき分け)ごめんなさい!この子通ります!」と人力モーセをしてくれた上で「いってらっしゃい、頑張ってね!」背中を叩いて激励してくれるというオマケ付きであった。意味がわからん。運動会の借り物競争とちゃうねんぞ。正直このオンリーとその日オフ会を兼ねて複数人で泊まったホテルでの会話が人生クソ楽しかったランキングに載るし走馬灯に出てくる自信がある。
この時期に交流を深めたオタクも、すれ違ったオタクも、全員ガチだし全員優しかった。一時の流行りであることが目に見えているからこそ、今を楽しみながらマナーを気にかけ、この炎が少しでも長く続くようにと必死で走っていたのだと思う。もう交流のない方も、まだ同じTLにいて下さる方もバラバラではあるが、それぞれにありがたく感じている。
〇と□と△さえ書いてあれば概念グッズ
夏コミで冬コミ申し込みセットを買い、当選の通知が来たのがこの頃であろうか。友人を巻き込んで必死に文章を綴り、前日夜までホチキスと格闘して2万字程度のコピ本を作った。お店屋さんごっこは楽しいものだが、同好の士に囲まれてお買い物ごっこもできるとなると楽しさは何倍にも増すことを初めて知った。売り子兼店番としてお迎えした纏ピカ〇ュウさんは未だ相棒である。今読み返せば恥の塊であろうとも、それでもあの日の集大成には違いない。買ってくださった方々ありがとうございました。
年が明けて、Live Infernoが開催された。運良く席をご用意いただき、楽しく参加させていただいた。余談ではあるがここのステージにおけるInferno(曲)のパフォーマンスでサイリウムの振り方に新解釈の余地が生まれ、翌日チネチッタでの応炎においてライブに参戦した人としていない人で振り方が変わっていたのがひと目で分かりなかなか面白かった。
しかし年が明けるということはどういうことか。コロナ禍の始まりである。緊急事態宣言がなされ、三密という定義が生まれ、映画館という閉鎖された空間において発声し続ける応援上映のスタイルはこの時確かに一度死を迎えた。余談すぎる余談だが家人と出会ったのがこの頃。出かけるにしても東京は無理だとわかっていたため、感染対策を万全にした上であることは前提として、何故か宇都宮で上映していた英語吹替版プロメアを見に行こうという話になったのだ。初デートで何してんねんお前ら。道中及び帰路のバスや電車内で話が弾み、2時間半話し倒し、別れ際に「めっちゃ喋ったね!今日ありがとう、次どこ行く?予定いつ空いてる?」と聞いたら「次回があるの!?」と驚かれ「逆に何で!?無い前提!?!?!」とキレ返したのも良い思い出である。良い思い出かな?ちょっとよくわかんないですね。
度し難いなこのバカは
合計でなんと25回同じ映画を見ている。しかし円盤や配信や同時視聴配信イベントや周年記念HUBコラボ前に初見の友人を連れ込んだのも含めるともう何回か見ているかもしれない。人生でこんなに映画を見たのは本当に後にも先にもこれで最後だと思う。公開直後と比べて大騒ぎすることは少なくなったが、記念日を祝い、コラボイベントに喜び、展示に沸き、好きな作品と聞かれて真っ先に答え、プロメア前とプロメア後で確実にキャラの好みが変わった。あと結婚した。私にとってエポックメイキングな作品であったと心の底から言うことができる。
これから先もずっとずっと長く愛していきたい、長く愛されて欲しい作品である。
プロメア、6周年おめでとうございます。
